Ica

スクライド:劉クー

ひたすらならしてる劉クーがかきたくなった。

ほんとは劉鳳がクーガーに仕事を華麗に邪魔されるというか、そんな感じの話から続けようか思ってるんだけどとりあえず思いついた分書いておいた。

つづきにおいておきます。あークーガーかっこいい。ひとつ残念なことは口調がいまいち分からないことです。水守に対するのと他の人とじゃ結構違うんですもん。でもそれが一番人間らしいというかそこが好きというか。

不敵に笑うクーガーが描きたいよおおお好きだああああ


どうにもこうにもまさかこんなことになるなんて思ってもなかった。

劉鳳の仕事を邪魔したあの日から視線が痛かったような気はしていたし、なんだか変な面持ちでもあった。けれどこんな事になるとは思ってなくて、それでも承諾してしまった以上あがくのはみっともない。

(いや、それだけじゃない、な)

建前だ、それは。そんなことを抜きにしてもこのただ自分ひとりだけを欲しがる男に、結局は──ほだされたのだ。

(……余裕ぶったふりしてるのはどっちだ?)

本当に心から焦燥して、乾いているのはどっちだ。

掴まれた手首が自由を欲していて、けれどクーガーは緊張した表情の劉鳳から目がはなせない。頬から伝う汗がそのまま顎まで滑り落ちるのをみて、不思議な感覚になってどこか焦るように自由な手でその背中に腕をまわした。そのまま起き上がって目をあわせる。じわりと汗がにじむ。どこからかは分からない。額の上の方が熱くてそれなのにひやりとした感覚で。

ズボンの中に劉鳳の細くて長い指が入ってくる。何をするのか知らないわけじゃない。本当なら逆だと思うのだけれど、劉鳳は雄の目をしていて、自分にはもうその能力がない。けれど仕方ないということも無い。拒絶はできたはずなのだ。かっこつけて笑って大人ぶってるのは、

(オレだ……)

男のプライド、というやつを捨てたわけではない。捨てるわけにもいかない。これを捨てたら温もりに縋ってしまいそうだから。どうしようもないのだ、誰だってそんな日はあるのだ。一人が寂しくてどうにもこうにも縋りつきたくなるような。

「キャラじゃねえよなぁ…」

ぽそりと呟くとそれを耳にとめた劉鳳は眉をひそめもせず薄くやわらかく笑う。

「いいんだ、今だけは、俺の下にいてほしい」

キャラじゃなくても。

そうですか、とため息とともにどこか熱くなった頬を隠すように吐き出そうとした瞬間冷たい液体をまとった指が後孔にふれる。

「っ………、」

「すまない、少し…我慢してくれ」

耳元で囁かれて舐めんなよ、と言いたくなる。こいつはオレを女かなんかだと勘違いしてんじゃないだろうかと。そんな優しくしなくたっていいのだ。逆に、なんだかプライドに触れるような。

ぐり、と指が慎重に入ってくる。それだけでとてつもない異物感で体が震える。もっとひどく扱ってもいいんだぞと言うのはもう少しあとにしようと思った。どっと冷汗がわき出てくる。背筋が冷たい。頭の裏が少ししびれるような感覚だ。

「…いたいか?」

「馬鹿、言うんじゃね………っ」

「の、割には」

少しだけ楽しんだような劉鳳の声音に文句をつけようとした瞬間、指の関節を折り曲げられて背中にまわした腕に力がはいる。うっかりすると劉鳳に体を預けてしまいそうで必死に唇をかむ。

「大丈夫、待っている」

慣れるまで、少しずつ。少しずつ。笑ったような気配にむかついて今度こそ口を開く。

「…うるせーよお前、はっ、」

「じゃあ動かすが、いいのか?」

「…………お好きにどー、うあっ!」

「ほら見ろ、まだ無理だろ」

指が根元まで押し込められて口から悲鳴が漏れて、余裕の劉鳳を睨みつけながら深呼吸をする。

「…こんな調子じゃ、本番までどんきかかるとおもってんだ」

「いいさ、何日でもかければいい」

「お前は……」

どうせこれも本気で言ってるのだろうあたり目眩がする。どうしてそこまでして自分なんかを抱きたいのか。わからないし、

「ん、ぐっ」

「悪い、少し、動かすぞ」

「はっ……」

「大丈夫か?いったん、抜くか」

「い、いやっ、いっ…てか、お前」

「ん?」

「ふっ、あの、な」

「なんだ?」

「…………その、もう少しだな」

「ジェルたすぞ」

「つめてっ、じゃなくて!」

「どうしたんだ?」

「っぁ…、りゅう、ほ」

「引き締まって、吸いついてくる」

「あほ!余計なこと言うな!」

「思ったことを言ったまでだ」

「こんなとこいれりゃ誰だってそういうもんだ、じゃなくて…だな…」

「何だか疲れてるが休もうか?」

「いや、違、んっ、ま」

「やっぱり無理して…」

「まどろっこしい!!!!!!」

「…………は?」

やっと言えた!息を思いっきり吐いて紅潮した頬をごしごしとこする。その際眼尻にたまった水は無視だ。今言わなきゃこのまま劉鳳のペースになってしまう気がする。

「年が違うんだよ!そんなねちねちねちやられたら流石のクーガーさまも」

「優しくしてるつもりなんだが」

「それは主観の差だっ!」

「…お前はこれも、速い方が好きなのか?」

「速さは足りてるッ!ベッドインするまでは滅茶苦茶速い!」

「じゃあいいんじゃないか?」

「そういうことじゃなくてだな……くそ、ああもう、俺はもう大分若くもねえんだから、そういうのはいいんだよっ!」

「初めてじゃないのか?」

「だからそういうことじゃないんだ」

ちらりと劉鳳を見て不思議そうな顔をしているのを見て何だか泣きたくなる。なんというか、こいつの空気がいやだ。大切にしてあげたい、手荒には扱えない、痛い思いはさせたくない、泣かせたくない、そんな空気が。

「痒くてしょうがねえっつの…!」

たまらなくなって劉鳳の肩に顔をうずめる。知らない、俺はもう知らない。

「………つまりその、照れくさいのか?」

「違っ!いや、違うくない…でも、違う、ん、だよ」

咄嗟に否定してから正しく伝わったことに気づき、けれどどうにもこうにももどかしくて否定する。

分かってるのだろうか、ややこしいこの気持ちを。伝わってるはずないとは思う。自分でも面倒くさい。放り出してしまいたい。

「………その、だな」

「ああ」

けれど返事はさっきよりもずっと楽しそうでこのまま死んでしまいたい衝動にかられる。

「…抱けよ、もっと、手荒に」

死にたいと思う間もなく音をたててベッドに倒される。この顔を見られたくないと思う。情けない、赤く染まったこんな顔。

「手加減、できないからな」

そこまで言われたら、もう駄目だ。

悪気のない、雄の笑顔に一瞬呼吸を忘れて見入って、それから両腕を背中に思いっきり回す。

「…してんじゃねーよ、男なら」

****

「速さは足りてるッ!」がかいてて一番楽しかった。