Ica

あ、あれですね…やっぱ眠いですね

羅叉ヨハ兄弟パロが猛烈な支援を受けた気がしたので続きかこうとしてたけど眠いから序盤だけ置いておこう…方向性きまったら一気にかけたらいいな…とおもう

窓際の席が好きだ。

いつも変わらない景色だが、それもいい。それがいい。寧ろ動きだしたら驚くというものだが、それはそれで楽しい世界かもしれない。心なしか雨の日の景色は新鮮ですらある。動きだすだろうか、と考えながらペンを一回廻したが、そんなわけもない。

視線を街並みからもう少しおろすと、校門のところで傘が動いている。用務員かだれかだろうか。すぐに見えなくなる。雨の打ち付ける音はなんと表現するのが正しいだろうか。ざあざあ。ぱたぱた。しとしと。ぱらぱら。雨の状況にもよるか。雨の種類だともっと多い。けれどそこではなく擬音で表現するのが乙というものか。さて、どうだろう。

プリントをさっさと終わらせて、また窓の外をみやった。

高校生というのは大人ではない。けれど子供だろうか。勿論自立能力の有無の観点から見ればれっきとした子供だろう。だが、高校生にもなって一緒に寝るということはそれはまあありえなくはないがそれほどあることでもないだろう。

ガラスを割ったために傷ついた羅叉の手に包帯を巻いた夜。丁寧に、できうるかぎりの繊細さで巻いていった。巻くことに夢中だったかもしれない。その傷におれは何を見たのかと言うと、あたりさわりのないことだ。口にしてしまえばつまらない。口にしなくてもつまらない。

その手を握りながら、ねむった。つい昨日の出来事だ。

視界の端にちらちらとうつる黒い傘を眺めながら、ふと気付いた。傘を傾けた男の顔にどうしようもない懐かしさを感じて、立ちあがった。まだ授業中だ。教師も同級生も一斉に顔をこちらにむけた。むけないものはプリントに羅列された数式を解くのに夢中か、寧ろ殊更に夢中の者だろう。

「すみません、具合が悪いので帰ります」

全くそうは見えない表情だったであろうことは間違いないが、教師は少し呆けた後、「あ、ああ」と頷いた。それを尻目にてきぱきと荷物をまとめて教室から出る。羅叉を呼びに行こうか、と何度か迷って、やめた。

正門玄関で靴をはきかえて顔をあげると、小雨を背景に逆光の中であの人がたってた。大きな傘を、さしたまま。おれを見て、あの忘れられない笑い方で微笑んだ。

「ヒヒヒ。久しぶりだな、ヨハン」

「はい。久しぶりですね──おかわりなく」

彼は傘をたたんだ。雨はやんできたようだった。